推薦メッセージ
大岩 元
慶應義塾大学 名誉教授
相愛大学 教授
神戸情報大学院大学に期待する
神戸情報大学院大学(KIC)は、1958年という、まだ情報通信技術(ICT)の創成期に設立された、コンピュータ技術者育成のパイオニアである神戸電子専門学校を母体として生れた専門職大学院です。
私は情報処理学会が組織した外部評価委員会の委員長として実施したKICの認証評価において、その教育内容をつぶさに見せていただき、大いなる感動を覚えましたので、それに基づいた私のKICに対する期待について述べさせていただきます。
ICTを基盤として情報化社会が到来する中で、日本における情報技術者の育成は神戸電子専門学校をはじめとする専門学校によって支えられてきました。大学においても、それは行われていたのですが、質、量ともに外国に比べて圧倒的に弱体なものであったことから、近年のグローバル化の進展とともに、インドを中心とする発展途上国の技術者に、日本の技術者は駆逐される状況が始まっています。
こうした中で、KICは国際的に通用するICT技術者を育成することを目指して設立され、学長を中心として学内が一丸となって教育に専心していることは、大変に心強いことです。と申しますのも、近年の日本経済の低迷は、ICT技術者の育成に日本全体が手を抜いていることに因るのではないかと、私は推測しているからです。日本は米国を始めとする欧米先進国と並ぶトップクラスのICT投資を行っているにもかかわらず、ダボス会議として知られるWorld Economic Forum が評価するICTの競争力は、20位あたりの位置を10年間にわたって続けています。かつて世界第2位の国際競争力を誇っていた、日本の競争力が20位を切る状態にまで低下してきているのです。
未曾有の震災を乗り越えて日本が再び発展するには、国際的に通用するICT技術者の存在が不可欠です。KICの教育に大いに期待している次第です。
尾原 和啓
Fringe81 株式会社執行役員、執筆家
(元グーグル(株)戦略事業開発部マネージャー)
情報の醍醐味を体得してください
神戸情報大学院大学は、私がICT分野への道を歩むきっかけとなった大事なルーツです。
これから、ICT業界での活躍を目指し、そして今後の世代を支える皆様の参考になればと思い、そのルーツについて、私のキャリアパスを通してお話しいたします。
神戸情報大学院大学の母体である神戸電子専門学校は、1995年の阪神・淡路大震災の際に、神戸の情報拠点として、各被災地の情報をネット(当時はパソコン通信がメインでしたが・・・)を通じて配信しており、私はボランティアの一員として、その活動を支援していました。そのとき、私は情報を発信することによって、更なる情報や被災地へのサポートが集まってくる経験と、プラットフォームを工夫・改良することで、情報流通がどんどん活性化していくダイナミズムの虜になりました。このダイナミズムをプロとして磨きたいと思い、大学院修了後の就職先として選んだのが、戦略コンサルティング会社マッキンゼー(McKinsey&Company)でした。(その時の指導者が、現在の神戸情報大学院大学の炭谷学長でもあります。)
その後、携帯電話を利用したインターネットビジネスモデルであるi-modeの立ち上げに参加するという好機に巡り会うことができましたが、Googleにおいて戦略事業開発に従事しておりますが、私が大事にしている2つのキャリア感、「まず情報を発信することで情報を集めていき、その流通基盤を根気強く改善していくことで、たくさんの人を笑顔にすることに貢献していく歓び」、「勇気をもって、エッジに飛び込んでいけば、そこで得た師・知己は、一生の糧となり、土地を、時を隔てても、コラボレートしていく創発の連鎖となること」は、全て震災当時の経験から培われたものです。
阪神・淡路大震災から20年、再び日本は震災によって大きなダメージを受けました。一度震災から復興した神戸の地だから発信できること、またその発信を通してピンチをチャンスに変えていくダイナミズムが、きっとたくさんあるはずです。皆様もぜひ、それを神戸情報大学院大学で学ぶことのできる縁を楽しんでください。