2023年度ICTプロフェッショナルコース/ICTイノベータコース(HT)修了生新たな門出
2024年3月16日、神戸情報大学院大学(KIC)ICTプロフェッショナルコースとICTイノベータコース(ハロートレーニングプログラム)の2023年度春季修了式が開催され、修了生たちの新たな門出となりました。
彼らは2月に、ICT分野における最新の技術と理論を駆使し、学生たちの探究心と成果を顕示する場である成果発表会に挑みました。探究をはじめとしたICTの実践的な学びを通じて、社会や様々な業界で直面する複雑な問題に取り組む探究力を養った2年間の集大成となったこの発表会では、AI、ビッグデータ、サイバーセキュリティなど、多岐にわたるテーマが国内外をフィールドとして取り上げられました。
ICTプロフェッショナルコースを修了した森田麻裕(もりたまゆ)さんは、自身の海外での経験を通じ、ジンバブエにおけるコットン農家を支援するためにNFT(ノンファンジブルトークン)を利用する研究を行いました。ジンバブエのコットン農家は、複雑で多くの関係者が関与するサプライチェーンのために、生産したコットンから得られる利益が中間業者によって消化され、適切な分配がされていないという問題を抱えています。そこで課題解決策として、NFTアートとジンバブエコットンを組み合わせて、世界にひとつだけのコットン製品を販売し、製品に新たな付加価値を付け、その分の利益を農家に直接還元する仕組みを構築しました。これにより、ジンバブエのコットン農家は直接支援を受けられるだけでなく、消費者は製品を使うたびにジンバブエの農家への支援に貢献しているという実感を持つことができ、ユーザインタビューによる検証では、多くの人がこのコンセプトに興味を示し、購入意欲があることが明らかになったと報告されました。
ICTイノベータコース(ハロートレーニングプログラム)を修了した中村文亮(なかむらふみあき)さんは、性的少数者(LGBTQ⁺)の理解者を見える化し、オンライン署名を支援することが可能なWEBアプリケーションの研究開発を行いました。このアプリケーションは、性的少数者が直面する居場所の問題を解決することを目指し、ICT技術を用いて「理解者の見える化」と意思表明ができる機能を実装し、「メッセージボード」と「オンライン署名依頼機能」が含まれ、これにより性的少数者が自分たちの居場所を見出し、理解者とつながることを可能にすることを目指しました。
そして、修了生全員がこれまでの自身の経験や課題意識から、探究実践を通じて新たな知見を共有した場となったこの発表会を成功させて迎えた修了式では、新型コロナウイルス感染拡大以前のように、教職員のみならず来賓の方々や、修了生の家族など多くのゲストを迎え、盛大に開催することができました。
式の中で炭谷俊樹学長は祝辞として発表会を振り返り、「一人一人の技術を活用しようとする想いや、やり遂げようとする気持ちが伝わり、それぞれの成果発表は珠玉でした。世の中には様々な社会課題がまだまだありますが、教育分野をはじめ、技術の発展は目覚ましく、皆さんの活躍できる分野はとても大きいです。新しい技術が出てきたときに、リスクを恐れるのではなく、積極的に活用してもらいたいと思います。これからの皆様の活躍を祈念します。」と次のステップへと進む準備ができた修了生へエールを送りました。
この修了式は、将来のICTリーダーたちが新たな道を歩み始める瞬間を象徴しており、大学院での学びは、単なる知識の習得を超え、自身のキャリアと人生において重要な変革をもたらす可能性を秘めていることを感じます。
修了、おめでとうございます。