言語スイッチャー

ICTに必要な「技術を越えた」3つの要素とは ~真意を読み取る「人間力」を鍛える

ICT教育

2016/2/18

考えぬけ! 答えは自分の中にある!

考えぬけ! 答えは自分の中にある!

准教授 藤原 明生

 

研究の課程では、必ず疑問が出てきます。
そんな時はすぐに先生に聞けばいい、ということで質問してくる学生が多いのが現状です。

しかし、私は必ずその答えを学生自身に考えてもらうようにしています。

というのも、実は「答えそのもの」がわからない、というのではない、と考えるからです。答えがわからないのではなく、どうやって答えを見つけたらいいのか、がわからないのです。私が答えを示してしまうのは簡単なことです。

しかしその答えは学生自身が持っているはずなのです。

ただ「考えること」に慣れていないばかりに、考えることが足りていないから、答えを導き出す前に質問してしまうのです。

そんな学生に、私は、とにかく「考えて、考えて、考えぬけ!」とアドバイスしています。
考え続けた上で私と何度も意見の交換をした結果、導き出した答えに「腑に落ちる」瞬間が訪れます。

「そうだ!それだ!」と一緒に歓喜すると、学生の自信につながります。

正直なところ、これは非常に時間がかかるし簡単な作業ではありません。
でも、考えて、考えて「自分で答えを導き出す」ことが彼らの大きな成長につながることは間違いありません。なにより自分で考えたことを認められた時は嬉しいものです。

厳しい返答の裏に隠れた真意を読み取れ

今年の我が研究室の課題テーマは「医療分野の課題解決」です。実際に病院の現場を見ておきたい、という意見も出ました。

しかし「病院を見たい」といったところで、気軽に見に行けるわけではもちろんありません。

そこで、どうしたら病院に行くことができるのか、学生たちに考えてもらうことになりました。ネット上にあがっている病院のリストから、近隣の病院をピックアップし、まずは一軒一軒に訪問のお願いのメールを出してもらうことにしました。
もちろん文面も学生たちで考えてもらいます。

「どんな理由」で「何を研究」していて「どうして」病院に行かなければならないのか。自分たちを説明する文章の作成は案外難しいものです。
ありがたいことに、とある病院の院長先生から直々にお返事をいただくことができました。

ただし「正当な目的」や「やる気」を問われるような大変に厳しい内容が書かれており、それを読んだだけで学生たちは意気消沈してしまっていました。

しかし裏を返せばこれほど熱心に返信していただけることは大変にありがたいのだ、ということを理解しなければなりません。
今、自分たちは試されているのだ、ここで熱意を示せなければせっかくの病院訪問も実現できないのだ、ということをアドバイスしました。
その後、ようやくしっかりと企画書を仕上げ、提出したことによりその病院への訪問は実現することができたのです。

院長先生は学生たちの熱意を確認し、手を差し伸べてくれていたのです。
そんな相手の気持ちを汲み取り、熱意を伝えることができたことは学生たちにとっても大変に勉強になったことでしょう。
社会にはこんな厳しさがあるのだということを、身を持って体験することができたエピソードです。

上流行程を学びたい学生のために

私の研究室では課題を見つけてから実際にシステム開発をする手前までの行程が特に重要だと位置づけています。
課題は社会や個人の「思い」から生まれ、またそれを解決するのも「人」です。
実際に企業に就職してからも、課題を解決するために何をしたらよいのか、ICT技術をどのように使ったら解決できるのかを「考えること」が一番大切なのです。

例えば「高齢者の家族を支援するシステム」をテーマとした年には、実際に高齢者を持つご家族が何に困っているのか、を調査することを重要視しました。

ヒアリングをした結果、「遠方に住んでいても安否確認をしたい」「認知症が発生していないか確かめたい」「病気など何かあった時にすぐ連絡がほしい」などの課題があがってきました。
そのひとつひとつの問題をICT技術で解決できないだろうかと考え、その結果を「仮説」として具体的にイメージしていきます。

例えば、高齢者の方は「カレンダーに予定を書き込む方が多い」との情報を得ました。この行為自体をICTと組み合わせ「カレンダーに予定を書き込む」と、直後に家族へその内容がメールで届くようなシステムはどうか、というアイデアが生まれました。

次にアイデアを実際のシステムとして開発していくのですが、納期や予算なども考慮に入れながら機能を設計し、場合によっては削除して調整していきます。
最終的には実際に高齢者やご家族が本当に使えるものとなり、喜んでもらえるものにしなければなりません。

プロジェクトマネージャーとして活躍したい、上流行程を学びたい、という人がその希望をかなえるために学べる学校としてKICを選んでいただける場面は増えています。
現場と直結し、人の思いを形にする。この学びのプロセスはなかなか他にはないのではと自負しています。

3つの要素が確実に身につくKICの「探究実践」

炭谷学長が考案した「探究実践」は、社会の課題を発見し、それを解決するための手段を見つけ実行していくといういわゆる「問題解決手法」です。

しかし、そこにはKICならではの重要な3つの要素があります。

まず、ひとつめは「誰が何に困っているのか」を考えること。そこに「社会課題」の定義があります。課題解決の折りには必ずそれを「喜ぶ人がいる」ことを想定する。「誰かの役に立つ」からこそ、解決すべき課題があるのです。必ず課題の真ん中に「人」がいることを忘れてはいけません。

2つ目に、自分の「強み」に気づき、それを伸ばすこと。人はそれぞれ必ず「強み」を持っています。しかし普段、自分ではなかなか気づくことができません。課題解決を通し、自分の強みに気づき伸ばす努力をすること。その力は必ず人間としての成長につながることでしょう。

3つ目に「社会人基礎力」を身につけられること。すなわち、人間力です。社会に出ると、人との関わりは不可欠です。
意志を伝える、相手の話を聞くなど、仕事を進める上ではコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が問われる場面が常にあります。
チームとして、メンバー同士で信頼しあい、協力体制を作ることも大切です。
「技術力」を持つこともちろん大切な要素ですが、「人間力」はそれ以上に重要だといえるでしょう。

「人」の思いを汲み取り、解決方法を見出して自ら行動する。

KICの「探究実践」を通して、私の研究室でもそんな即戦力として活躍できる人材が育っています。そしてこれからも社会に羽ばたく卒業生の姿を見ることは、私にとって一番の喜びなのです。

藤原 明生 准教授 研究室

藤原 明生 准教授 研究室

プロジェクト型の研究活動を通じて課題解決力・専門力を育みます 。

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