5月26日、27日に東京都内の印刷博物館および東洋大学にて開催された「情報知識学会創立30周年第26回年次大会」において、本学の学生4名がそれぞれの研究成果報告のため登壇し、その中の一人、ICTイノベータコースM2のラマダニ・カトゥンダさん(タンザニア出身)が学生奨励賞を受賞しました。情報知識学会は「情報と知識」についてさまざまな側面から考え、研究し、議論していく場として1988 年に設立され、日本学術会議協力学術研究団体としても認められている権威ある学会であり、当大会に本学は2014年から参加し、過去多くの学生が発表を行って参りました。
学生奨励賞を受賞したカトゥンダさんは、昨年の夏頃から母国タンザニアで車両の盗難が社会問題になっていることを解決すべく課題として捉え、研究に取り組んで参りました。
「日本では、交通違反の取り締まりにかかる人件費を削減するため、無人取り締まり機の設置やパトカーに車載搭載カメラを装備する等しています。一方、タンザニアでは、取り締まりに人件費を非常に多く費やしていながらも、車両の盗難や交通違反の件数が非常に多いのが現状です。このような社会課題を解決するために研究を始めましたが、日本で使用されているような取り締まり機や車載カメラは機材としてコストが高すぎることに気づき、タンザニアで同じような機材装置を使用することは現実的ではないと考えました。そこで、誰もが持っていて、インターネットにアクセスできる場所ならどこでも使えるスマートフォンを活用することにしたのです。車両のナンバーや運転免許証をスマートフォンのカメラで認識することで、その車が盗難車かどうか、運転手が過去に交通違反を犯したかどうかなどの情報をデータベースから得られるようなアプリを開発しました。」と、カトゥンダさんにご自身が開発したアプリケーションについて説明していただきました。
今回の受賞は、母国タンザニアの深刻な社会的課題に正面から向き合った内容と、穏やかにクリアな英語でスピーチをするカトゥンダさんのプレゼンテーションが同時に高く評価された結果でした。カトゥンダさんは、「受賞が決定した時はとても驚きました。KICを修了して、タンザニアに帰っても、引き続きこの社会課題を追及していきたいです。」とコメントしました。