神戸情報大学院大学(KIC)では、2025年春学期の研究計画発表会が行われ、ICTプロフェッショナルコース(4月入学・日本語コース)の2年生が自身の研究テーマと今後の計画を発表しました。KICは、「ICTを活用して社会課題を解決する実践的人材の育成」を掲げており、本発表会はその理念を形にする場として、毎年注目を集めています。
今回の発表では、個人の興味や経験を起点としたユニークな研究テーマが並びました。たとえば、唐澤芽生さんの「推し活をより楽しくするためのICT活用の研究」では、ファン活動(推し活)におけるSNS利用や金銭管理、コミュニティ形成の課題に着目。推し活に伴う感情やテンションを“見える化”し、ファン同士の共感やつながりを深めるツールの可能性を探っています。単なるエンタメ消費で終わらせず、ICTの力でより健全で満足度の高い活動へと昇華することを目指す内容です。
また、𠮷村泰輝さんの「ドラマーの奏法改善による腱鞘炎の防止」では、演奏時の体の負担を筋電位(EMG)センサーで可視化し、負担の少ない奏法を科学的に導くアプローチが紹介されました。長年ドラムを続けてきた本人の実体験をもとに、初心者や中級者が無理なく上達できる支援ツールの構築を目指しています。健康と音楽の両立をICTで支える点に大きな意義があります。
どちらの研究も、“自分らしさ”を出発点に社会課題へとつなげていくKICならではの探究姿勢が感じられるものでした。炭谷俊樹学長からも今後の中間発表や実証実験、論文成果にも期待が寄せられました。未来の研究者たちの一歩を、ぜひ一緒に見守ってください。