神戸情報大学院大学(KIC)は2025年2月7日(金)から2月8日(土)にかけ、ICTプロフェッショナルコースおよびICTイノベータコース(ハロートレーニング)の学生が2年間の研究成果を披露する修了発表会を開催しました。
稲住美晴さん「学校準備に対する保護者の関わり方の改善による子どもの主体性涵養に関する研究」
ICTプロフェッショナルコースの稲住美晴さんは、保護者の関わり方の改善による子どもの主体性涵養(かんよう)に関する研究について、発表しました。近年、共働き世帯の増加により、保護者が子どもに提供するサポートのバランスが崩れていることが指摘されています。学校からの連絡確認や持ち物準備といった事務的作業に時間を取られ、子どもの話を聞いたり相談に乗ったりする精神的サポートの時間が減っているのが現状です。この課題に対し、稲住美晴さんはAlexaとGoogle Apps Scriptを活用した学校準備支援システムを開発しました。このシステムでは、学校の行事予定や持ち物リストをクラウドで管理し、子どもがAlexaを通じて必要な情報を音声で確認できます。これにより、保護者は事務的な作業に追われることなく、より質の高い関わりを子どもに提供できるようになります。家庭内での実証実験では、保護者の負担軽減や子どもの主体性向上の効果が確認されました。今後、学校との連携を深めることで、さらに効果的な活用が期待されています。
久保雅美さん「オンライン学習でのアバター活用」
ICTプロフェッショナルコースの久保雅美さんは、「オンライン学習でのアバター活用」について、発表しました。オンライン学習の普及に伴い、カメラオンでの学習に伴う疲労、いわゆる「Zoom疲れ」が問題視されています。カメラを通じて常に他者の視線を感じたり、自分の映りを気にしたりすることで、集中力が削がれたりストレスを感じたりすることが多いと言われています。この課題に対し、久保さんはアバターを活用した学習環境を提案しました。アバターを使うことで、カメラオンの必要がなくなり、学習者はリラックスして授業に集中できるようになります。また、学習内容に応じて適したアバターを選ぶことで、より効果的な学習が可能になります。特に英会話学習では、英語圏の人物のアバターを使用することで、より没入感のある学習環境が生まれることが分かりました。検証結果からも、Zoom疲れの軽減や学習の質の向上が確認されており、今後の教育現場への導入が期待されます。
このように、今回修了予定の学生たちはそれぞれユニークな方法で社会の課題解決への研究を行っています。(下記、一部修士論文タイトル抜粋)
・ICTを学習内容に取り入れた理科教育の実践~「科学と人間生活」の一例~
・意図しない生体認証情報の漏洩を防止するシステムの開発
・ユーザーの趣味発見を支援するアプリの開発
・初訪問地域におけるバス乗り方ガイドアプリケーションの開発
・生成AIを活用した財務分析サポートツールの開発
・生成AIを活用したいじめ教育向けロールプレイ自動作成アプリの開発
・写真撮影サポートツール開発―AI認識によるカメラアプリケーション―
・VR技術を用いた大学機械工学模擬授業アプリの開発
・AIによるマッチング旅プラン
・生成AIを用いた対話型大学情報システムの開発
・AI BOT活用による読書後アウトプットシステムの開発
・非接触による寝ながらキーボード
・足の計測結果に基づくトゥシューズ選択支援アプリケーションの開発
・学校準備に対する保護者の関わり方の改善による子どもの主体性涵養に関する研究
・地方都市の中小企業におけるDX推進支援の研究
・オンライン学習でのアバター活用
・生成系AIを活用した英単語テスト自動化システム
・次世代の牧場監視:AIが見守る馬の安全と厩務員の働きやすい環境構築
KICは今後も世界の学生たちと探究を軸にした社会課題解決へ挑戦していきます。