神戸情報大学院大学(KIC)は、2024年8月、2024年度ICTイノベータコース(10月入学・英語コース)の最終修了発表会を開催しました。
今回の修了発表では、2年間の集大成として2022年度10月に入学した学生たちが研究成果を発表しました。特に留学生は、それぞれの母国での課題と、KICでの学びをどのように結びつけ、どのように課題解決を行うかについて、教員や学生からの質問やコメントを受けながら、活発な議論を行いました。
トラオレ ジボ ファルサーさんは、母国であるギニアの観光業をICTを活用して促進し、観光体験を向上させるプロジェクトについて発表しました。ギニアは豊かな文化遺産と自然景観を持つが、観光業の発展が遅れており、近隣国のセネガルと比較しても観光客数が少ない。その背景として、観光地のデジタルプレゼンスが不足しているため、地方の観光製品や歴史的景観のマーケティングが困難になっているという課題を発見しました。その課題に対し、彼はモバイルアプリケーションやデジタルプラットフォームを構築し、それを活用して観光地を宣伝し、観光サービスを改善することを提案しました。プロトタイプの実証結果も紹介され、将来的には、ギニアで一般的に使用される言語の追加や、現地言語の音声データをテキストに変換する機能の導入、リアルタイムの天気情報システムの統合、SNSとの連携などが計画されています。
台湾出身のライ ゲンコウさんは、日本における多文化共生を促進するためのオンラインプラットフォーム「CoExistNippon」の開発を行いました。このプラットフォームは、日本に住む外国人が現地の文化や生活に適応しやすくなるよう支援することを目指し、新しい外国人住民が直面する言語の壁や文化的な違い、地域社会との関係構築の難しさを解消するために、オンラインでの情報共有や意見交換を可能にする機能を提供します。先輩外国人や日本人との交流を通じて、相互理解を深めることを目的としているプラットフォームにふさわしく、ライさんの学友がプラットフォームを分かりやすく説明するような劇を披露し、ユニークなプレゼンテーションとなりました。
創意工夫次第で、国や地域を問わず社会課題の解決につながり得るソリューションが開発できる昨今のデジタル時代において必要とされる、自身で仮説を描き、仮説を試行していく実行力を身に付けた今回発表を行った学生たちは2024年9月に修了を迎え、それぞれ次のステージに向かいます。