神戸情報大学院大学(KIC)は2023年8月9日(水)、9月に修了を迎えるICTイノベータコースの学生による、2年間の学びの集大成でもある最終成果発表会を開催しました。KICのICTイノベータコースではこれまで90ヵ国以上(2023年8月現在・短期研修を含む)の国と地域から留学生を受け入れており、日本人学生を含め、異なる文化や環境を背景とする様々な国の学生が共に学んでいます。
今年9月に修了を迎える学生たちは、KICでの2年間における様々なプロジェクトやワークショップを通じて、異なるアプローチや手法を経験し、ICTを通じた幅広いスキルを磨きました。これにより、彼らは従来の枠組みを超えたアイデアを生み出す探究的な課題解決能力を向上させました。
今回の成果発表では、修了生たちはそれぞれの分野での2年間の集大成として、研究成果を発表しました。異なる母国での課題を背景にし、KICでの学びをどのように結びつけ、どのように課題解決を図っていくか詳細に説明され、KICの教員や学生からの質問やコメントを受けながら行われ、活発な議論が展開されました。
「International Conference of Artificial Intelligence」において「THE IIER EXCELLENT PAPER」賞に選出されたミャンマーからの留学生であるカイン・テッ・モン(Khine Thet Mon)さんは、機械学習技術とICTを応用して自然災害を「短時間で」「正確に」予測する技術を「低コスト」で実現するシステムの開発を行いました。質の高いデータを収集し準備することで、機械学習はより正確で信頼性の高い降雨予測を開発し、ミャンマーの農民や政策立案者が災害の早期警報のために迅速な意思決定を行うのを助けることができる可能性を示唆することができたとしています。
日本/世界銀行共同大学院奨学金制度(JJ/WBGSP)によるKIC初の学生の一人でパキスタンからの留学生であるジャベッド・アハメッド(Ahmed Javed)さんは、母国パキスタンのカラチにおいて、増え続ける都市ゴミと、それによるウェストピッカー(路上や廃棄物処分場で、ビン・缶などの有価物をインフォーマルに回収・売却することで現金収入を得ている人たち)が増加している社会問題を取り上げ、ゴミ拾い廃棄物処理にICTを活用し、廃棄物収集業者、リサイクル業者、コミュニティをつなぐプラットフォームの開発研究を行いました。プロトタイプの作成からカラチ現地での実証などを行いつつ、今後も定期的なアップデートを行うことで、カラチでの社会課題解決に活かされることでしょう。
最後に炭谷学長からは「今日は皆さんにとって重要な日だったと思います。今日の発表ではそれぞれの国のために最先端ツールの活用やプロトタイプの開発、コンセプトの深掘りなど多くを学んだ成果を聞くことができ、とても感動しました。それぞれの修士論文も多くの時間を費やして仕上げたことと想像します。」と総括があり、修了までの残り少ないKICでの日々をリラックスして過ごしてほしいとのコメントがありました。
ICTイノベータコースの修了生たちは、これからの未来に向けて大きな期待を背負っています。彼らの日本で培った学習経験や人脈を活かし、テクノロジーの進化や社会の変化に柔軟に対応し、イノベーションの推進者としての役割を果たすことが期待されています。
彼らの努力と情熱に敬意を表し、今後の彼らの活躍にご期待ください。