KICと音羽電機工業株式会社は、アフリカ諸国へのビジネス展開と産業人材の育成に取り組むため、包括連携協定を締結しています。現在、アフリカの各国は雷による社会的損害に苦しんでいますが、特にルワンダ共和国は「世界一の雷被害」地域に位置する国です。KICはこれまでルワンダ共和国から留学生を多数受け入れており、音羽電機工業株式会社がインターンシップの受け入れをしてまいりました。その一人、ABEイニシアティブのアミリ・ムガルラさんは同社の高い技術力に感銘を受け、母国ルワンダへの技術支援や事業展開を熱望したことをきっかけに、同社はルワンダ共和国での雷被害への復旧対応と電気系のエンジニア育成を支援することを決定し、ビジネス進出を進めています。KICの課題解決力を育む教育カリキュラムと、母国の災害を少しでも減らしたいという学生の強い願い、そして、雷対策一筋に、高い「免雷」技術を追求する音羽電機工業株式会社との出会いが、包括連携協定を実現させました。現在、アミリ・ムガルラさんは現地でICT企業を起業し、音羽電機工業株式会社と共同でルワンダ共和国の課題解決にチャレンジしています。
KICでは多様なカリキュラムを通じて、国内企業の訪問を行い、学生の柔軟な思考力を育んでいます。KIC独自の授業「Practiceof Creativity Development」は炭谷学長が講師となり、課題発見や解決のために必要な創意工夫の力や柔軟な思考力を鍛え伸ばすためのKICオリジナルの授業です。アイディア創成や発想法などに関する様々な手法を取り入れながら、アクティブラーニング形式で学んでいきます。全15回の講義を通じ、企業から多彩なゲスト講師を招聘し、オムニバス形式で実施されるのも特徴です。例えば、留学生による東京での中外製薬株式会社の若手人材育成プログラムの「Leadership InnovationProgram」への参加があります。マラリア、HIV/AIDS、エネルギー供給、糖尿病予防などについて、留学生の母国が抱える課題をグループ内で共有し、新たな解決策を作るために苦戦しながらも、その課題について本学独自の探究メソッドを通して新しい切り口からクリエイティブな解決策を考え出しました。このように、KICは様々な国内企業、団体、個人とつながり、アフリカと日本における双方向のイノベーションの場を提供しています。
エスタ・マコノさん
タンザニア出身/2017年本科修了
インターンシップ先の(株)ジー・イー・エス(大阪)に就職した彼女は、同社の大気・水・土壌などの環境問題解決への最先端の技術を学びながら、環境関連設備のCAD設計を行い、アフリカでの水や住居に関する新プロジェクトの準備を行っています。
アミリ・ムガルラさん
ルワンダ出身/ 2016 年本科修了
インターンシップ先となった音羽電機工業(株)との縁で、帰国後、現地ICT企業「データ・エキ」を設立し、落雷被害の大きな母国ルワンダで、JICAの中小支援事業により雷害対策プロジェクトを共同で展開しています。