ICTプロフェッショナルコース 中間審査発表会開催
ICTプロフェッショナルコース 中間審査発表会開催
――AIが人と社会に寄り添う研究の現在地――
神戸情報大学院大学(KIC)ICTプロフェッショナルコースでは、中間審査発表会が開催され、学生たちがこれまで取り組んできた研究の中間成果を発表しました。
AIやデータ、ICTを活用しながら、教育や医療といった社会に不可欠な分野に向き合う研究が発表され、現場の課題を起点に解決策を模索する姿勢が印象的でした。
今回はその中から、現場での活用を強く意識した2つの研究を紹介します。
医療現場の安全を支えるICT
与薬業務支援システムの設計と検証
Nさんは、病院や医療現場で行われる「与薬業務」に着目し、
人為的ミスを減らし、医療の安全性を高めるための支援システムを研究しています。
医療現場では、薬の種類や量、患者情報の確認など、
一つひとつの判断が重要であり、作業の複雑さからヒューマンエラーが起こる可能性もあります。
Nさんの研究では、バーコードや画面表示を活用し、
投薬前の確認作業をICTで支援する仕組みを設計・検証しています。
現場の業務フローを丁寧に分析したうえでシステムを設計している点が特徴で、
医療従事者の負担を増やすのではなく、自然に安全性を高めるICTのあり方を模索しています。
研究では、実際の業務を想定した検証も行われており、
医療現場での実用性を意識した取り組みとなっています。
AIで教育支援を加速
LLMとRAGを活用した、教育現場のためのAI基盤づくり
梶屋英寛さんは、大規模なリスキリング講座などの教育現場で課題となっている
「指導者不足」や「講座データ整備にかかる負担」に着目し、
教育支援を目的としたAIの基盤づくりに取り組んでいます。
本研究では、LLM(Large Language Model:大量の文章を学習した対話型AI)と、
RAG(Retrieval-Augmented Generation:必要な情報を検索してから回答を生成する仕組み)を活用し、
講義音声や授業資料などのデータをAIが参照できる「知識基盤」として整備しています。
これにより、AIが一般的な回答を返すのではなく、講座内容に基づいた回答や補足説明を安定して行えるようにすることを目指しています。
また、知識基盤を整備する過程で発生する修正や確認作業の負担を減らすため、
データの品質を自動で評価・可視化する仕組みについても検討しています。
コストや運用面の制約を考慮しながら、人が管理しやすい形で使えるAIを設計している点が本研究の特徴です。
ICTを「現場の力」に変える研究
今回の中間審査発表会では、AIやICTを活用しながらも、
教育や医療といった人の生活を支える現場に目を向けた研究が多く見られました。
学びを支えるAI、医療を支えるICTー
2名の研究は、技術を現場の力に変えるための異なるアプローチを示しています。
中間審査発表会は、研究の通過点であると同時に、
今後の発展や社会実装に向けた重要なステップです。
これらの研究が今後どのように進化していくのか、期待が高まります。

