修了発表会を開催 ―ICTで「働き方」と「新規事業創出」を支える研究―
ICTで「働き方」と「挑戦の進め方」を支える研究
神戸情報大学院大学(KIC)では、修士課程学生による修了発表会が開催され、これまで取り組んできた研究成果が発表されました。
発表では、AIやロボティクス、データ技術を活用し、社会課題や実務課題の解決を目指す研究が数多く紹介されました。
今回はその中から、働き方の質を高める研究と、起業・新規事業の進め方を支援する研究という異なる視点から、ICTの可能性を示した2件の研究を紹介します。
ロボットを用いた自然な休憩誘導システムの提案
――個人状態に応じた休憩タイミングを提示――
志摩真那早さんは、デスクワークの増加に伴い、疲労や眠気を感じながらも適切な休憩を取れない人が多いという課題に着目し、疲労・眠気検知とロボットによる休憩誘導を統合した支援システムを提案しました。
本研究では、Webカメラ映像から顔特徴点を検出し、瞬きや閉眼時間、あくびなどの指標を用いて疲労・眠気を推定します。さらに、個人差を考慮したキャリブレーションを行い、ユーザーの状態に応じたタイミングで、ぬいぐるみ型ロボットが休憩を促す仕組みを構築しました。
評価実験では、従来の画面ポップアップ通知と比較し、ロボットによる誘導が「癒し」や「気分転換」として受け止められやすく、休憩行動への移行を促す可能性が確認されました。
「作る前に売る」を支援する
――AI協調型コンセプト検証システムの構築――
張智懿さんは、スタートアップの多くが市場ニーズを十分に検証しないまま開発を始めてしまう課題に着目し、製品開発前のアイデア検証を支援するAI協調型システム「Concept1st」を開発しました。
本システムは、AIによる市場分析や仮説整理、ユーザー反応の収集などを段階的に支援することで、低コストでコンセプト検証を行える仕組みを提供します。これにより、開発前の段階で意思決定を行い、不要な投資や時間の損失を抑えることを目指しています。
研究では、実際のユーザーチームでの活用事例やケーススタディを通じて、アイデア検証プロセスの効率化や意思決定支援の有効性が検討されました。
学長コメント
修了発表会の講評として、炭谷俊樹学長は次のように述べました。
「まずは皆さん、本当にお疲れさまでした。今回の発表では、身近な仕事や社会課題から着想を得た研究、さらには個人の興味や趣味を深く掘り下げた研究まで、テーマの多様性と一人ひとりの強いパッションを感じることができました。『これをやりたい』という思いが、研究を通してしっかり伝わってきました。
現在はAIの進化が非常に速い時代です。AIにどのような情報を入力するのか、その量や質、新規性によって、できることは大きく広がっていきます。多くの人の知識や新しい情報を取り込める仕組みを整えることで、これまでできなかったことが実現できるようになっていくでしょう。
これからも探究を続けていくことで、より面白く、可能性に満ちた社会を皆さん自身の手で創っていってほしいと思います。」
ICTで人の行動を支える研究へ
今回の修了発表会では、技術そのものの高度化だけでなく、人の行動や意思決定をどのように支えるかという観点から設計された研究が多く見られました。
働き方を支えるICT、新しい挑戦を支えるICT――
今回紹介した2件の研究は、ICTが日常の行動や社会活動にどのように寄与できるかを示しています。
今後、これらの研究がどのように発展していくのか、期待が高まります。


