神戸情報大学院大学(KIC)では、「Practice of Creativity Development(創造性開発演習)」というユニークな授業が開講されています。この授業は、「創造性は生まれつきの才能ではなく、行動によって鍛えられる」という考えのもと、実際の社会・ビジネス課題に対して創造的な解決策を見出すスキルを身につけていきます。
この授業では、「The Innovator’s DNA」として知られる5つのスキル観察力、質問力、連想力、ネットワーク力、実験力を中心に、多様な事例や実践を通じて自分の中に“イノベーターの習慣”を育てていきます。たとえば初回授業では、「自動車メーカーのプロダクトマネージャーになって問題を解決せよ」という架空のミニケースを用い、発想の自由度や柔軟性を高めるワークが行われました。架空とはいえ、リアルな課題に対し、いかに「突飛でもいいからたくさんのアイデアを出せるか」が問われます。
授業では、Appleの「iPod+iTunes」の成功事例なども取り上げながら、創造的な発想がどのように新しい価値を生むのかを体系的に学びます。学生たちはグループでの課題解決を通じて、単なる発想だけでなく、「それをどう形にするか」「社会にどう届けるか」までを考えるプロセスにチームで取り組みます。
最終成果発表では、グループごとに次のようなプロジェクトが発表されました。
① 迷子や失踪のリスクに対処するための、体温から電力を生成するサーモエレクトリック型ウェアラブル追跡デバイスを提案。
②アルゴリズム・コード・プロセスによる創作(アート)に関するテーマと各参加者の観察・感想。
③ 留学生のメンタルヘルス支援を目的としたAIによる感情サポートコンパニオンの提案。
④ 日本での生活に必要なあらゆるサービスを一元提供する**統合プラットフォーム「NakamaSys」**の提案。
⑤ 消化器の健康を促進するためのプロバイオティクス&プレバイオティクス配合スナックの開発。
社会課題の解決にICTをどう活かすか。
自分自身のアイデアがどんな価値を生むのか。
「創造性開発演習」は、それらを自ら体験し、体得するための授業です。