
ケニアの「医療廃棄物」の現状を自分の手で解決したい ~「課題を形に」を実現するICT技術を学んで(前編)~
ナイロビにおける医療廃棄物の追跡システム。トラックや機器の不足などが原因の場合は補充や修理を速やかに実施すること、といったようなこれらの課題をICT技術を使って解決できないだろうか
2015/11/18
イノベータコース修士1年
KARIUKI, Mutembei: Effective Tracking of Medical Waste in Nairobi
カリウキ ムテンベイ(ケニア)
研究テーマ:ナイロビにおける医療廃棄物の追跡システム
日本に来るのは今回が初めてではありません。KICに入学する3年ほど前に、東京のコンサルティング会社にインターンシップ生として来日したことがあります。懐かしい日本に再び来ることができて大変嬉しく思います。実はインターンシップを終えてケニアに戻った時に、ケニアの現状を改めて認識させられました。日本と比べてまだまだ整っていないインフラなどが、目につくようになったのです。ちょうどその頃、日本の政府がケニアに対して廃棄物処理場のプラント建設を援助するプロジェクトが始まりました。東京の会社は「廃棄物処理」を主な取り組みとしていましたので、大変興味を持ちました。中でも主に病院などから出る医療廃棄物の処理については、テクノロジーが進んだ日本のシステムが大変参考になります。刺激を受けた私は「ケニアの現状を自分の手でなんとかしたい」と思うようになりました。
ケニアでは医療廃棄物処理について2つの大きな問題があります。1つは輸送する手段であるトラックなどのコンテナ機能に関することです。日本では当然のようにきちんと密封された状態で運ばれますが、ケニアではそうなっていないのが実情です。密封されていない状態で輸送されることが多々あり、そのたびに輸送途中での漏れが起こるという事故が起こっています。
2つ目は病院での集積方法の問題です。廃棄物は種類によって分類され、機械を使って処理されなければなりません。しかし、現状では設備が不十分なのです。また、病院の関係者に処理方法や報告義務などの必要性を示す研修が行き届いていないことも大きな問題となっています。
そこで、まずケニアの病院の現状を把握することが課題です。情報の把握は最も必要なことだと考えます。
例えば「どの病院」が「どのような種類の廃棄物」を「どのくらいの量」を排出したのか。それは「どの状態」まで処理されているのか等、把握しなければならない情報は多々あります。
また、輸送の途中で事故が起こった場合は「どの場所で」「何が原因で」起こったのかを分析できるようにしなければなりません。これらを調査した内容はすべてデータベース化して一元管理することが必要です。
そして原因を突き止めたら、再発防止のために必要な研修を実施し、またトラックや機器の不足などが原因の場合は補充や修理を速やかに実施すること、といったような、これらの課題をICT技術を使って解決できないだろうか、と思いつきました。
もともとケニアでも廃棄物処理場のプロジェクトに関わっていた私は、再び来日でき、しかもKICで学ぶという幸運を手に入れることができました。医療廃棄物処理は大変難しいテーマですが、先生や同級生の助けを得て研究を進めています。現在は学びたいことがたくさんありすぎて非常に忙しい日々ですが、毎日が貴重な経験の連続です。おかげさまでとても充実した学生生活を送っています。
母国ケニアのために全力を尽くす ~「課題を形に」を実現するICT技術を学んで(後編)~
先生の素晴らしさはKICの大きな魅力のひとつです。特に興味を持っているのは「Fundamentals of International Cooperation」の授業です。